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ドキドキしちゃう

ダメな人の自己愛ドライブレコーダー

世界のネカフェから  ブログのメイン。管理人の見た世界の不条理。
ツイッター   ゆるふわ日記。思考回路オープンソース企画。

黄金週間2014

ゴールデンウィークは例年実家でうだうだよくわからないことに没頭するのがここ何年もの慣例となっていたけれど、今年は山の向こうまで遠征にいった。渋滞が殺人的となることは予想しなくてもわかるし、付き合いだからという以外に重い腰をあげる理由を見つけることはできなくて、そのまま仕方なくというのが主体的な体感だった。それは父親の学生時代の友人の集まりだった。追悼集会的な何に遺族として是非参加してほしいというちょっと自分の世代の人間からすると考えられない概念の、つまりありがたいおはなし(退職間際の世代が持つバイタリティに時々私はびっくりさせられる)だったので、そんな主体感だのなんだのを口に出すことは絶対に禁止だったけれど。まああるかなという範囲だとは思うけれども、前夜に私はどうしようもない気持ちになったし、その次の夜に妹が泣いていたことにも気づいた。母親も妹も、それから私もそういうことについては何も言わなかった。

 

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(春が来たばかりだった)

 

山のふもとにある民宿は、古民家を移築したとかで非常に素晴らしいところだった。確かに、また、来たくなるような。宴会場には一部分だけ壁を抜いて全面ガラスにデザインされているところがあって、崖と川が一望できた。時々カモシカや熊が尾根を歩いていくのが見えるそうだ。照明の器具に昔の農機具が使われて、みたこともないような太い梁があった。壁には前の主人が撃ったツキノワグマの毛皮がまるごとかかっていた。大きな囲炉裏があって、夕飯のころには宿泊客分の鮎が刺さっていた。会話に疲れて宴会場から逃げ出したとき、ちょうどおかみさんが囲炉裏の鮎を一本ずつひっくり返していて、私はいいですねとかなんとかいいながら脇に腰を下ろしてそれを見ていた。

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(アユ:やばい)

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(ウド:うまい)

 

山菜がおいしい季節だった。あけびにこごみ、ねまがりのたけのこ。とうのたったふきのとうをおいしく食べたのも初めてだった。大根には信じられないほどの繊維が入っていたし、にんじんは子供が嫌いになりそうなほどに強い味のするにんじんだった。私はそこそこ自分がいるところが恵まれた贅沢な環境だと思っていたけれども、いつもどれだけぬるいもので自分をスポイルしているのかと思ってびっくりしてしまった。うどの皮の上手な剥き方なんて私は全然知らなかった。


みんなは楽しそうに昔話に花を咲かせていた。楽しそうだった。「このメンバーは素晴らしい、社会的地位を忘れられる、このままこの関係は永遠だ」というような内容の発言が数回割に大きな声で発せられて、そうだ、そうだ、と多くが肯いていた。こういうセリフはよく聞くと思っていたけれども、もしかしたらそれは映画や小説の世界で、直接見聞きしたことは初めてだったかもしれない。私からすると社会的地位の非常に高いひとばかりなのにこんなセリフがキャッチなものとして出てくるというのは、地位が高けりゃいいってのが全くの乱暴な誤解にすぎないという証明になるんだろう。低くても高くても高低差の認知こそがストレスの元凶だと思う。
だからこうして学生時代に還って、忘れてしまいがちな自分の歩いた歴史というものを、きっと、かつての所属といまの所属、その違い、そういうものを丁寧に保守点検するんだろう。同窓会には縁がないけれども、そうやって何かたまってしまったものをどこかに発散したい気持ちはわかると思う。
私は知らない時代の話を聞くことに純粋に興味をそそられた。知らないことも、人間の変わらない本質的なことについての発見も、両方ともについて私は自然に楽しむことが出来たし、何となく安心したような気持ちになった。

桜がまだ満開で、山には雪形がきれいに見えた。水芭蕉が咲いていた。いいところに来たと思った。
こんなところがあるのなら、と旅先で私は時々思う。誰か、例えばあのひとを連れて来たらよろこぶかもしれない、でもまずはカメムシが苦手ではないか確認してからかな、とか、でもそういう言葉もだいたいはすぐにどこかに消えて行ってしまう。

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帰りの道は全然渋滞しなかった。

 

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唯一自力で真似できると思った戦利メモ:
切り干し大根
糸こんにゃく
キュウリの千切り
きくらげ
塩もみしてみりんとしょうがで和える

確かこんな感じ