【グルジアへ】寝台列車のススメ/お目当てロシア軍道へ
寝台列車が大好きだ。
心地よい振動で揺られながらふと目を覚ます。知らない国の知らない線路を粛々と進んでいく大きな鉄の塊、その中に自分がいることを発見する、世界地図を頭に描く、車両が1mmだけ進んでいく、そうして窓の外を、観光地と観光地のあいだに広がるなんでもない街の屋根を延々と見る、暗くて見えないが街の向こうはきっと砂漠だ、ひとは川に沿って街をつくり、それに沿って線路が曳かれている、もちろん何もない荒れ地を進んでいくのもいい、必ず線路はずっとあるのだ――極めつけは、それがいつものなんでもない夜だということ、静かに電車が通り過ぎるだけの当然の――
私は口を半開きにしたままバカみたいになんにも考えられなくなる。
寝台列車の旅はすてきだ。
自分で何もしなくても遠くまでいける、しかもちゃんと横になって眠れる、なにより安い!
この三つ目がキモ。
日本では絶対に経験出来ないこと――それは国境越え、そしてエコノミー選択としての寝台列車の夜なのだ。
恥ずかしいほどくだらない理由だが、これがたまらなくてどんなに使い勝手が悪くても無駄な日程が出てもついついスケジュールに電車の夜を組んでしまう。行きたいより乗りたいを優先させたような本末転倒なスケジュールのときも多い。バカだと思うけどそのうち卒業するのだろう。しなかったら・・・は考えないことにしよう。
コツはなるべく上の段を予約すること。
窓を見るのには下の段のほうがもちろんいいのだが、どうせ寝ている間は何も見えないし、そもそも座席の窓なんかきったなくってなんにも見えなかったりするのだから、あえて上を予約する。窓はコンパートメントから廊下に出たところで楽しめば十分。(もちろんお金に余裕があれば1段ベッドの席が理想だけれどもそこまで贅沢は言わない)
寝台列車の難点は同室の客が選べないことだが、自分の席が上のベッドならばいつでもさっさとプライバシー空間を構築できるからだ。
概して地元のひとは下の段を好むケースが多い(はしごをのぼるのが面倒らしい)ので、席が自由席だった場合でも、希望すれば譲ってくれることが多い。
アゼルバイジャン鉄道のシーツはやたらかわいいかった。(ちゃんとキレイなやつを配ってくれる)
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さて、(悲しいことに)ゆかいな仲間とはやっぱり終点までの関係性となった。
そんなわけで(どんなわけでも容赦なく)列車はずんずんと進んで時計の針を一緒にまわし、私はすんなりこのたび2回目の国境を今度は何も思い煩うことなく軽々と北にまたいで、グルジアに入った。
グルジアの首都トビリシのバスターミナルは地下鉄ディドゥベという駅を降りて地下街のバスターミナルをくぐりぬけ、階段を上ったところにあった。
バックパックを背負っているせいですばやさが極限まで下がっているというのにそんな目がちらちら移ってしまう道を歩いていく、まあそんな大変非合理的な動きをしながらようやくたどりついた結果はといえば、乗ろうとしたバスはないという発見だった。
前もってネットで調べておいた情報が大嘘だったのだ。
親切なひとがネットに載せた段階ではもちろんほんとうだったのだろうがどんな世界でもそこは現況優先、仕方がない。
仕方がないので次点候補に目的地を替える。
グルジアでおそらく一番メジャーな観光地であるカズベキである。
コーカサスの山麓でトレッキングしたり山の頂上の教会にいったりするのだ。全然悪くはない。
カズベキカズベキカズベキと息の続く限りに連呼するおっさんの塊をみつけて仕方なくその中の一台のハイエースに乗り込む。
なぜグルジアまでわざわざ来たのかと言うと、コーカサスの山に向かう道が絶景で有名ということになっていたからだった。
この道はロシア軍道といって、1920年代にソ連軍が南下するために作り上げた軍用道路だったが、現在ではもっぱらこうして観光用の平和な道になっている。
途中にある世界遺産の教会に寄ったり、謎の壁画(ソ連がつくったらしい)が絶景パノラマポイントを彩っていたり、色々と道中のお楽しみがある。
犬が多くて怖いのが難点。
⇒Tips レモンちゃんのネカフェから
グルジアの文字。ちょっと覚えてみようかな~な安易な気持ちを抱かせない、一介の外国人には高嶺の花感が強めです。